20代の恋愛 ◇お題箱から
「20代の恋の中でなにか印象深いエピソードください」
何度もお題箱を見返して、このお題についてたくさん思い返したり考えたりしてみた。
そうしたところ、印象深いエピソードは1行で終わりそうだが、どうやら前置き後書きが長く長くなりそうだ。
10代の頃から最近結婚するまで、恋愛に関してはロクでもない女だったので、よく今まで刺されたり訴えられずに済んだな、と世の中に感謝せずにはいられない気持ちになる。
わたし自身の偏見なのかもしれないが、恋愛経験の少ないことをネタにするのは許されるけど、ひたすらモテたり休む暇なく恋愛を繰り返してしまうということは人に不快感を与えてしまうのでは?という不安がつきまとうのだ。
実際にそれが原因で人にどつかれたり欺かれたりした経験があるからかもしれない。
軽蔑されても叩かれても仕方ないが、不意に人に不快感を与えてしまうことが、わたしの恐怖と不安なのである。
わたしは人並みの普通の顔である。強いて言うなら、若い頃は生意気な面構えをしてると因縁をつけられたり殴られそうになったりしていたことはある。いつも目立つ存在だったのは、生意気な面と背が高いせいだった。
しかし、中学生の頃からつい最近に至るまで、いつも好意を示してくれる数人の男性がそばにいて、熱心に親しくなろうとしてくれたり一緒に楽しんでくれようとしてくれるお陰で、その中の誰かを好きになってお付き合いする、そんな恋愛の繰り返しだった。
もちろん、好きになると真剣にその人だけを好きになるし、もっと親しくなりたいと積極的にもなる。
ただ、次から次へと誰かが現れると、心変わりをしたりもする。
突然冷めて、今思うと、オイそんなことしたら刺されるぞ、と咎めたくなるような別れ方をしたりもした。
もちろんフラれたこともある。
気分転換という名の、世間では浮気と呼ばれるものをしたこともある。
よくよく若いその頃の恋愛を思い返すと、
熱心にエサを貰う、その中の一番気が合う人を好きになる、付き合う、当然相手はわたしが手に入ったので熱心にエサを与えなくなり、穏やかに育むステージの恋愛に進もうとする、わたしは物足りなくなる、この繰り返しであった。
突然だけど、20代の恋の中の印象深いエピソードは、1度目の結婚の夫と出会ったことである。
あとあと知ったことだけど、その時は初対面でお互い一目惚れだった。
わたしは初めて自分の意思で人に恋したのだ。
見た目も声も仕草も体型も全部全部大好きだったのに、とにかく価値観と性格が合わなかった。そしてお互い若かった。子供じみてた。
それでも、初めて好きになった人と結婚できたので、いや〜良かったな〜今のこのままの心境で当時に戻れるのなら、離婚せずにやっていく自信あるな〜、なんてたまに思うほど、良い思い出なのだ。
離婚して11年経つのに、未だに彼の電話番号を暗記していることにも、自分で引く。
しかも、ここ十数年、テレビや映画や舞台で見かけない日はないくらい活躍してる俳優と同じ名前なのが、ずーーーっと忘れずにいてしまう理由の一つ。
彼と離婚してからも、まだ20代。
結婚する気も彼を超える人が現れる気もしないから、好意を示してくれる人の中から選んで適当にいい加減な恋愛を繰り返していたような気がする。
30代になり疲れる恋愛を終わらせて、仕事に明け暮れ、飛行機を追っかけ始めたら、恋愛が邪魔になり始めて、でもやつらは放っておいてくれないので、その中から美味しいとこだけ頂いて逃走して、そんなこんなで今の夫に捕獲されたのだけど、まぁ20代はとんでもなかったなーと、ん?30代もかな?と、しみじみ振り返ることができた。
これが5年前に同じお題を貰ったとしたら、自分が痛すぎて振り返ることができなかったと思う。
頂いたお題から色んなことを思い返したり分析したり物思いに耽って、若い日の何かをうまく成仏させることができていると思う。
いつも良きお題をありがとう。
これからもお待ちしております。